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根津教会外観

この礼拝堂の外観を特徴づけている要素には、大きく「尖頭アーチ」と「下見板」のふたつがあります。
尖頭、つまり先のとがったアーチ形(ポインテッド・アーチ)を描く窓や外壁装飾は、さかのぼれば中世ヨーロッパを舞台に発展した「ゴシック様式」の流れを汲んでいます。尖頭アーチは、もともとは石や煉瓦を積む構造において柱の少ない大空間を実現するために考案された技術で、主に教会建築を中心に発達し、その影響は、中世末期にはヨーロッパのほぼ全域にわたりました。全世界の教会建築が、近代に至ってもこの様式を意識してデザインされるのは、その遥かな歴史性を踏まえてのことです。

もうひとつの要素である「下見板」は、木骨の上から長い板を水平に打って外壁を造る工法で、近代日本の西洋館、とくに学校や役所建築などに非常に多くの類例が見られます。根津教会のように板の下端を重ねたまま打っていく方法は「イギリス下見」と呼ばれ、英国で考案され、開拓時代の米国で急速に広がり、極めて一般的な工法になっていました。日本には、明治維新後、米国を経由して伝播されたといわれます。

以上のことから、この礼拝堂は「ゴシック様式」の装飾をまとった「木造・下見板張り構造」で、その結果、米国の町の小さな教会に極めて似た雰囲気をもっています。そんな建築が、不思議なことに、この根津の和風の町並みにもしっくりとなじみ、しかも、その景観が多くの方々に愛されているということに、わたしたちも改めて喜びを感じる次第です。
なお、この建物の昔の姿や逸話をご存じの方、戦前・戦後の古写真をお持ちの方などいらっしゃいましたら、恐縮ではございますがeメールにてお知らせくださればまことに幸いです。